分光学は化学物質や材料に吸収される光放射量を測定するために、例えば、赤外(IR)、可視光(VIS)、紫外線(UV)などの様々なエネルギーの放射を使う技術です。

光放射は波長、エネルギー周波数など異なる方法で表されます。cm⁻¹の単位で表される波数も一般的です。全ての分光光度計は下の例図の通り、放射光源(発光器)、サンプル保持器、検出器を含んでいます。

空気中のCO₂を検出するためのサンプル保持器であるセンスエア社“OBA”

小さいランプ(上図左下)からのIR光放射は、OBAの鏡面内壁に跳ね返ることによって、必要な信号の強さを得て、存在する吸収ガス分子情報と共に、検出器に届きます。IR検出器は、特定の波長域からの光のみを通す薄いバンドパスフィルタで覆われています。

IR分光法

IR分光法は、例えば世界中の化学研究所などで非常に一般的です。4000~400cm⁻¹(波数)の電磁放射を使用するIR分光法は構造の定義や 検証において非常に貴重なツールです。原子間結合は幾つかの異なる動きで振動します。通常、伸張は屈曲よりもより強いピークを作り出しますが、類似した結 合の識別には弱い吸収が役立つことができます。対称的な振動はIR放射の吸収を生じさせないことに留意することが重要です。

4000~1250cm⁻¹の赤外吸収帯は特定の化学結合の振動と組み合わせられます。まではいわゆる指紋域で、全体として、分子の合成的な振動的変化と関係付けられます。

分析の前に、固形の化学物質は、放射光の多くが通過できるよう、ペレット状にされます。液体や気体は専用に作られた、IR放射光吸収をしないサンプル保持器(キュベット)に入れられます。IRガス分析用として、センスエア社製センサのような、浸透性フィルタを備えた測定器もあり、このようなセンサはガスを、ガスが分析される内部へ容易に拡散流入させます(下図を参照)。

センスエア社のデザインによる赤外分光高度計

波動IR放射光は上図の左側から右側の導波管、すなわちセンスエア社OBAへと発せられます。最終的に、発せられた光線の幾らかがスペクトルフィルタを通過して、上図右側の検出器に到達します。吸収ガスがOBAの壁を通して拡散流入した場合、検出器は初期量よりも少ない放射光を受信し、これに準じた弱い出力信号を生み出します。IR量で表された信号がアンプを経由して、検出器からプロセッサユニットへ送られ、そこで、部分的にランベルト・ベールの法則に基づく数学プログラムを使って、ほとんどの場合ppm(百万分の一)で表されるガス量を計算します。

UV/VIS分光法

色をもつ物質は主に補色光を吸収します。
例えば、黄色に見える物質は約450nmの波長の青を吸収します。

可視光スペクトル、人の目でみることのできる波長

可視光およびUV放射光はIRよりも高いエネルギーを持っており、従って、一つのエネルギーレベルから別のエネルギーレベルへの価電子励起を生じさせます。

通常、UV/VISスペクトルはIRスペクトルほど細分化されておらず、正確にどの物質に由来するかを示す指紋的なエビデンスとしては使用できません。しかしながら、幾つかの分離されたピークは、ランベルト・ベールの法則を使った濃度の定義に優れています。

強い色を持つ物質、血液のUV/VISスペクトル

ヘムグループ“Hb”は酸素の有無に応じて可視光を吸収し、血液の色を変化させます。