圧力はCO₂センサの測定値に影響を与えます。これはCO₂濃度を測定するために採用されている物理的な原理によるものです。NDIR方式のセンサは、モル濃度に相当する、CO₂分子に吸収されるIR放射光を測定します。圧力が増加すると、一定の容積中の分子も比例して増加します。従って、全てのCO₂センサは圧力依存性を持っています。

大気はどのようにセンサのCO₂測定値に影響を与えるか?

空気中の成分は海抜10000m辺りまで変わることはありませんが、空気の気圧は高度に応じて変化します。高所では海面に比べて気圧は低くなります。これは、基本的なガスの法則に従って、単位容積当りの分子が減少することをも意味します。

NDIR方式のセンサは単位容積当りの分子の数を測定するため、高い高度では低い測定値を示します。しかしながら、CO₂濃度を表すためにセンサが使用する単位は容積当りのppmで、CO₂で占められる体積分率は圧力に関わらず同じです。このことは、CO₂センサの測定単位としてのppmの選択が、必要に応じて補償可能な偏差をもたらすことを意味します。米国標準大気1976によって、大気中の高度が増せば、気圧が低下することが分かります(Fig.1)。

Fig.1:異なる高度に依存するセンサ測定値

ABC機能の使用による制御

センスエア社センサは、例えば、使用部品の経年変化や輸送による初期精度のズレなど、あらゆる長期ドリフトの補償にABCアルゴリズムを利用しています。センスエア社CO₂センサを、例えば、Fig.2のように、2000mの高度に設置した場合、ABC機能の使用は、圧力依存性によって生じた測定差を最小限にし、有効に測定値を真値に近づけます。

Fig.2

センスエア社CO₂センサの圧力依存性は、センサのデータシートにおいて、“通常気圧100kPaからのズレに対してkPa当り+1.58%”と示されています。これは、センスエア社CO₂センサが工場校正される平均海面気圧101.3kPaに対して有効な近似化です。より正確な近似化は下記の数式で得られます。P=kPaでの気圧。

測定真値 = 測定値
4.026 × 10⁻³ × P + 5.780 × 10⁻⁵ × P²