CO₂測定は、一般によく知られた非分散型赤外線吸収法と呼ばれる、赤外(IR)放射吸収の原理に基づいています。この原理は、分子が、放射された波長が分子の内部エネルギーのレベルと一致するスペクトル領域において、光(電磁エネルギー)を吸収するという事実に拠っています。これも一般に知られた、物理化学分野における量子力学理論に従って、中赤外スペクトル領域において、原子間振動による分子エネルギーの共振が存在します。異なる原子(異なる集合)によって異なる分子が形成されるため、振動の共振周波数(および波長)はそれぞれの種類(分子)によって異なります。
この事実が、スペクトル分析によるガス検出の基本です。選択された種類(分子)の共振波長と一致するごく狭いスペクトル領域内で、吸収される光の量を検出することにより、その固有の種類の分子数を、他の種類による干渉を受けることなく、測定することができます。
センスエア社独自の光学的導波テクノロジーの基本原理(pat. JP 3990733)
ランベルト・ベールの法則は共振吸収Aとガス濃度cの関係を以下のように説明しています。
Id = Io e-cds (1)
ここで、A = (Io - Id )/ Io.
Ioは入射光の強度、Idは透過光の強度、dは光路長、sは吸光強度(ガスに特有の量子力学的定数)。
代表的なNDIR方式ガスセンサでは、高いレベルのIR光フラックスIdを光検出器へ送るため、アクティブなIR光源が使用されます。与えられた幾何的な値dは固定値であるため、この計算式でcを実験的に定義するためには、ふたつのパラメータIoおよびsのみが残ります。実際的にはこれは2ステップの校正手順によって行われ、まずIoが先に定義されます。
この最初のステップは、光路にc=0である“ゼロガス”を満たして行うため、ゼロキャリブレーション(ゼロ校正)と呼ばれます。ここで真空を使うこともできますが、実用的な理由により、大気圧での窒素が緩衝ガスとしてより一般的に使用されます(窒素にはIR吸収がありません)。
残りの未知のパラメータsを求めるために必要な2番目の校正ステップはスパンキャリブレーション(スパン校正)と呼ばれ、このステップでは、光路を既知の濃度cのガスで満たして校正を行います。