私たちが環境、とりわけ地球規模の問題となっている空気質の検知・測定について考えるとき、センサの消費電力を低減することは、経済的な観点では省エネに効果をおよぼすとともに、センサとしては、時として諸施策の意思決定に貢献するような、新たなマーケットでの用途、使用機会を創出します。

近年、IoTの発展や普及について語られることが多くなっています。クラウドにデータ集積を行うソリューションが益々一般的になりつつあり、マーケットはより多くの測定ポイントを持つことの優位性を認識しています。この点で、バッテリー駆動のセンサソリューションは増えつつある、ユーザーの重要なデマンドです。

バッテリー駆動のセンサは多くの用途を創出します。しかも、センサのバッテリーは太陽光や、熱、風力などの自然エネルギーから充電が可能です。このことは、私たちが環境に悪影響をおよぼすことなく、測定ポイントを大幅に増やし、固定電源のないサイトにもセンサを設置できることを意味します。

低消費電力センサの実現性

一般的に、全ての電子センサにおいて、投入する電力と測定分解能には基本的な関係があります。すなわち、測定により多くの電力を投入すれば、より正確な測定結果が得られるという関係性です。従って、低消費電力センサによって高分解能の測定を得ることは挑戦的な仕事です。

センサの測定値の精度は系統誤差と偶然誤差の制約を受けます。系統誤差は光学系の安定性、校正の質、電子部品のシステム誤差、使用するアルゴリズムの質によって定義されます。これらの誤差は供給電力に関係するものではなく、センサに使用されている部材の品質やセンサの製造者のスキルによって定義されます。一方、偶然誤差は、センサに供給される電力に直接関係しています。

いわゆるノイズは偶然誤差ですが、これを低減するために、二つのセンサを使う、IR光源の測定のための点灯回数を倍にするなどの方法が考えられますが、これらの方法は他方で消費電力を倍増させることになります。測定のデューティサイクルを変化させるとき、測定分解能は投入する電力の平方根に比例すると言えます。つまり、電力を100分の1に減らすと、分解能は10分の1に低下します。同様のことは光源の強さについても言えます。光源の光束を二倍にすれば、二倍の信号が得られますが、これに比例して必要な電力も二倍になります。

このような電力と分解能の関係を踏まえて、習熟した設計者は、検出電子回路用の低ノイズ部品の選定、信号を最大限にするための光学系の最適化を行い、光源、電力、デューティサイクルなどを、要求される分解能、電池寿命、測定期間などを満足できるように検討します。上述のような様々な検討から、光束を増加させ、デューティサイクルを減少させることによって総消費電力は最少化できます。

環境への負荷の低減、すなわち省エネルギーを考慮しつつ、新しいセンサによる新しいマーケットを創出するには、センサの低消費電力、精度、寿命の三つの要素を考える必要があります。センスエアはこれらの要素の理解に基づき、イノベーティブなセンサを提供します。